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2025/01/15 10:54 |
夢がなーい!
夏コミあとの飲み会でも話したのですが、7月に華音さんと話したことで、
大人長太郎=弁護士という設定で書く方が多いじゃないですか。
ほんで読むのは好きなんですけど、自分でかく場合、いかんせん弁護士という職、もしくは法学部とかの知識が全くないので大人編をかいてもそこをきっちりかけない、というか、よくわからないという話になりまして。

一応、米でLLMをとるべく留学してる子のコラムとか読んでるんですけど、「何がかいてあるかさっぱりわからない…」というレベル。私が学がないのは明白ですが、それにしてもわからん。

んで、だったら自分の得意なジャンルに鳳宍を逆に当てはめればかきやすくね?って話で、マンガの世界ならかけるーってのでマンガ家とかどうだろうとか話してました。
宍戸「俺は…次の手塚・赤塚賞とらねーともう後がねーんだよ!!」みたいな。
…が。私はプロの世界を知らないのでそれも微妙…となると、資料なし経験のみでかけるのって「同人の世界」だけじゃね?となりまして、もやもや考えてたら面白かったので駄文で書いてみました。
利点は「共感を得やすい」デメリットは「身近な話題すぎて夢がない」ということですかね。
まぁネタなので(宍戸さんの口からおたく用語でるって…)さらっと。
私はひじょーーーーにかきやすかったです。やはりね。
あとあまり具体的なジャンルっぽくかいてません。あと特定のジャンルや人を批判もしてませんのでー。


--------------

ただでさえ暑さと湿気がまとわりつくような空気が、人の波で一層膨れ上がる。
いっそ外の方がましなのではないかと思えるような暑さ。
開場前には少しだけ効いていたような気がする冷房すら、今は意味のないものになっていた。


人ごみの中から、幾分先ほどより疲れた表情の宍戸が戻ってきた。
「おかえりなさい。どうでした?向こうは」
「すごかった…あ、そこのポカリとってくれ」
「はい」
家から凍らせてきたペットボトルのポカリスエットも今はただのぬるくて甘い液体になれ果てている。それでも、何もないよりはましだった。
それを一気に飲み干すと、こめかみから汗を流しながら宍戸は一息ついた。
「相変わらずだったぜ、跡部のヤツ。ダンボールの間でふんぞり返ってスケブ描いてやがった。列の整理だの、客とのやりとりだの全部樺地にやらせてさ」
少しだけ苦々しい表情でペットボトルに口をつけながら宍戸はまくしたてる。
「これ新刊だってよ」
宍戸の差し出した先には2冊の本。どちらもきらびやかな装丁の――人目で大手の本とわかる――本であった。
それを手にして鳳はまじまじと眺める。
「シェルリン…キュリアスかな?それに箔押し…勿論5色…中もカラーがいっぱい…はぁ…すごいですね跡部さんは」
「バカなだけだぜ、あいつは」
乱暴に椅子をひくと、宍戸は憤慨したように座り人が流れる通りに目をやった。
「…何か言われたんですか、跡部さんに」
ちらり、と鳳を横目で見て、また顔を通路に戻した。
「『また今度一緒にやろうぜ』だとよ」
「やればいいじゃないですか」
「…ムリだろ、もう」
あぁ…と鳳は思った。
どんなに仲がよくても、ここまで「書き手として」差が付いてしまった今、なかなか同じ土俵に上がることは難しい。
絵がうまいから、売れてるから、自分はそうではないから――そういう問題だけではないのだ。あそこまで大きくなってしまった跡部に、今さら自分たちが何を描けば対等になれるというのか。
「しかも『お前はまだそんなジャンルでちびちびやってんのか』だとよ。相変わらず無礼なやつだよな」
そうは言っているが、決して宍戸は跡部に対して怒ってるわけでも、ましては憎んでいるわけでもないようだった。二人はずいぶん前から友達で、しかもずっとこんなことを言い合う関係だったのだ。勿論、二人で本を出したことも何度もある。
そこは少し、いやかなり妬ける、と鳳は思っていた。
それでも。
この世界は他人と知り合いと相方が紙一重。
今、宍戸の隣にいるのが自分であることが全て。
鳳は熱がこもるビッグサイトの天井を見上げた。

 

「悪かったな、いきなり」
ドアを開けて現れた宍戸は、少し眠そうな顔でボサボサの頭をかいていた。
宍戸が一人暮らしするハイツは1LDKのアパートに毛が生えた程度のものだが、築年数も浅く、小ぎれいな佇まいだった。
玄関には少年ジャンプとマガジン、青年誌がいくつか積み重なっている。
思ったよりかたされているな、と鳳は見回しながらリビングに向かった。
さすがにリビングのテーブルの上は、原稿用紙と画材とでひどい有様だったが。
「間に合いそうですか」
肩からかばんを下ろしながら、鳳は準備を進める。
「結構厳しいな。トーンがな」
「ベタは」
「あとちょっと」
鳳は自分の画材と筆記用具を机に出し、散らばっている原稿を手にとった。
「うわ、結構も背景あるんですね」
「できるか?」
「なんとか」
実はそんなに自信はないのだが――鳳は宍戸の前でつい見栄をはってしまう。
デッサンもパースも完璧とはとてもいえない。それは同人だから、というわけでもなく自分の思うレベルに達していない。それは鳳本人もわかっていた。
それでも、下書きから仕上げまでのスピードは普通から考えてもかなり早く、ベタやトーン処理といった作業もかなり早い。そこは人より優れている部分ではあった。それをあてにした先輩や友達たちからのアシスタントとしての依頼はかなり頻繁にある。何せ本人が自分の本の入稿が早いため、他の人間が修羅場になっているときは手があいているのだから。
二人は世間話も何もなく、黙々と作業に入っていた。
トーンを削る音が部屋に響く。
「宍戸さんは、カラーCGにしないんですか」
「あーうちのパソコンが古くてよ、とてもじゃねーけどできねーよ」
「まぁ宍戸さんの絵にはアナログの方が合う気もしますけどね」
鳳も宍戸も作業の手を止めないまま話し続けた。
「夏コミはジローさん出ないんですか」
「あいつはいつもこんなかんじだぜ。忘れたころにぶらっと参加。だからいっつもジャンル違うんだよな。あんまイベントマメに出るとか、コンスタントに本出すとか興味ねーっつかできないみたいだな」
「それでも出すときはかなりのクオリティだからすごいです」
「まーな」
ちらっと宍戸は鳳が作業する手元を見た。
「バッカ!お前、そんなキレイにつやベタ入れなくていいよ」
「何でキレイにやって怒られるんですか!」
「俺がやったとこと見るからに違うだろーが!」
確かに前半のページと見比べると、つやベタの入りの細かさが違っていた。
「すいません…」
「あーいーって!とりあえず人物の服にトーンはっていってくれ」
「はい…」
また無言でひたすら作業を進める時間が過ぎていく。
BGMと化したTVの小さくしぼった音声が流れるだけだった。
「うし!ちょっと休憩な」
ひと段落したところで、突然立ち上がって宍戸が冷蔵庫から2Lのペットボトルのお茶を出して、近くにあったコップに注いだ。
「休憩終わったら、俺がパソコンでセリフ打ち出しますね」
「あぁ助かる」
鳳は宍戸に渡されたお茶を飲みながら、乱雑に積み上げられた同人誌の山に目をやった。
「これ…忍足さんのですか」
「あぁそれな。この前もらったやつだ」
一番上においてあった、かわいらしい色合いの本を手に取った。
「あいつもおかしいよな。出版社にスカウトされて、担当までついてたのに、きめうちのネタなんて描きたくないとかいって、同人だけでいいとか言ってんだぜ」
鳳はぱらぱらと本をめくる。それはいわゆる男性向けの同人誌だった。表紙に「R18」と大きく入っている。
「俺にはこっちが合ってるみたいや、とかいって今はそっちらしいぜ。この前までハルヒだのけいおんだの言ってたくせに忙しいやつだよ」
「…でもすごく楽しそうですよね、忍足さん」
「岳人が怒っちまってよ。大変だったんだよ」
昔は一緒にやっていた仲間も、今はみなばらばらに活動している。
一人で本を出すものもいれば、誰かと一緒に活動しているものも。
それでも、たとえジャンルがばらばらになっても、今でもたまに連絡を取り合っているのが宍戸の周りの人間たちだった。
鳳は――ずっと宍戸と一緒にやりたかった。しかし、なかなか口に出せないことでもあった。周りの人間たちがレベルが高かった、ということも勿論ある。しかし、それだけではない。以前、まだ知り合って間もないころ、宍戸が自分から話した話――

『俺は一度やめてんだよ。前のジャンルでよ、ちょっとばかし売れてて、ちやほやされてて調子のってさ。ゲストやらアンソロやらいっぱい依頼きてたのに平気でドタキャンしたりしてさ。通販もめんどくせーとか言って。ファンがいるからって、全然新刊出さなかったり、たまーに出したら行列になったけど、知ったこっちゃねーよって、列も捌かないでさ。バカだったよなぁ…。そしたら、そのジャンルのベテランさんにさ、めちゃくちゃキレられて、いられなくなっちまったんだよな、そこに。そんときはこっちからやめてやらぁ!って感じだったけど、あとでめちゃくちゃ後悔したよ。そのジャンルも人もマンガを描くことも好きなのに、もうそこにはいられないんだってことにさ。復帰してからはずいぶんまともになったつもりだけど、それでも人とやるのは…向かねーんだよな。全部自分の思い通りにしたくなってきちまう。一人でやってんのがいいんだよ、俺は』

ずいぶんと、あっけらかんと、明るく言い放つことが逆に悲しく聞こえた。
鳳はそのころの宍戸はほとんど知らない。そんなことがあった、と周りの人間たちに少し聞いたくらいだった。そして、その話を聞いたとき「そこまでされてしまうことなのか」と思ってしまい、自分で苦笑した。きっとそのジャンルの立場だったら100%宍戸に対して自分も腹立たしく思うのに、宍戸から話を聞くと、たいした話ではないと思ってしまった自分に。
原稿を手伝ったときも、何度か遊んだときも、宍戸と一緒にやれないとは思えなかった。
宍戸の作業や同人への考えに異論を唱えるところはなかった。
例えあったとしても、そこは自分が折れればいい。
宍戸さんがやりたいようにやればいい――きっとそういえば宍戸は怒るだろうが。

 

「どう?頑張ってる?」
手にまだ冷えていると思われる飲み物といくつかの菓子を持って、滝が宍戸のスペースに遊びに来ていた。
「悪ぃな。まわってきたのか?」
「うん、そんなに買うものはなかったけど…。あ、岳人のところに行ったよ。今日は日吉と一緒に出てるんだね」
「あぁ、忍足が3日目になっちまったからな。大ゲンカして大変だったんだよ、あいつら。結局、日吉に忍足の代わりやらせてたみてーだけどな」
「みんなタフだねー。俺はもうムリ」
「…もうやらねーのか」
「うん。俺はもう買い専だよ」
滝は以前は書き手として活動していた。派手さはないが、一定のクオリティを保ち、それなりに読者もいた。しかし、少し前にやめてしまっていた。
どうして…と悲しげな顔で聞く宍戸に、「そんな顔してまで理由聞いてくれたのは宍戸だけだよ」と笑い、「理由なんてないんだ。熱くなれるものがない。それだけだよ」とだけ言った。「別に彼女ができて、すっぱりこの世界から卒業しようとか思ってないよ。だってやめられるわけないでしょ?」と笑っていた。宍戸は何も言い返せなかった。
「鳳は?」
「日吉に本渡しに行った」
そう…とシャッターの開けられた外周側を見つめた。
「どうするの、一緒にやるの」
「何がだよ」
「とぼけなくていいよ」
「とぼけてねーよ」
宍戸は自分の机に目を落とす。
「俺はいいと思うけどね。冬の申込書買ったんでしょ?」
「…買ったけど」
ふふ…とかすかに笑って、どこかでもらった企業のうちわで扇ぎながら滝は「そろそろひきあげるか」とつぶやいた。
「宍戸はね、そろそろ人とやった方がいいと思うよ。一人の方が合ってるって、思い込みかもしれないでしょ」
ちょうどそのとき、日吉のところに行っていた鳳が戻ってきていた。
遠目で滝を見つけると足早に駆け寄り声をかけた。
「滝さん、わざわざ寄ってくれたんですか!ありがとうございます。暑かったでしょ」
「もう朝から並ぶ気力なんてないよ。昼くらいにゆっくりまったり来たから全然平気」
そして、ちらっと宍戸を一瞥してから、鳳に向き直り、
「じゃ、俺は帰るね。あと色々頑張って。俺は楽しみにしてるから」
とだけ言って去っていった。
「…楽しみってなんですか?」
「なんでもねーよ」
余計なこと言いやがって…と思いながらも、宍戸は今日ずっとそのことだけを考えていた。
かばんにある冬の申込書。鳳に「一緒にでないか」と誘うこと。
どうとられるかはわからない。一緒に遊んでくれる。原稿もイベントも手伝ってくれる。だからといって、一緒に本を作ろうということに返事がもらえるとは思えなかった。
手伝いと違い、そこには時間や金銭のやりとりが発生する。いくら遊びでも無責任に簡単にできることではない。自分でもそれを身にしみてわかっているからこそ、言い出しにくい。だからといって悩んでる時間もあまりない。
冬コミの申込み期間は、オンラインでない限り、3日ほどしかないのだから


(つづく?)

力尽きたのでとりあえずここまで。
感想とかあるとありがたいけど、まぁムリですよねこれじゃ(笑)

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PR

2009/09/03 02:13 | Comments(0) | 同人

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